投稿者 undecuplet | 2010/01/27

究極のピアノ・・マルカンドレ・アムラン(Marc-André Hamelin )を聴く

ピアノの難関曲といえば何を想像しますか・・リスト? ショパン?・・最近だとカプースチンとかあげる方もいるかもしれません。しかし、今日ご紹介するものは難易度でいったら格別です。全音ピアノピースのFなんて目もくれない、この世で弾ける人がいるかどうか・・といったいわば超難関曲なのです。

実は、ピアノ曲とはいいながら、ピアノという楽器で演奏することは想定されていても、人間には到底弾けないピアノ曲です。指が10本あっても全然足りません。人間ではない機械(ロールピアノ)にだけが弾くことを許されたピアノ曲なのです。

百聞は一見にしかず、ぜひ、このyoutubeをまずはご覧ください。

不協和音とは何でしょう。小学校で習うのは、ドミソ、ドファラ、ソシレはいわゆるわかりやすい調性の音ですが、実際の音楽には、それを超えた不協和音的なもので満ちています。ラヴェルもJ-POPもみんなそうでしょう。

先日紹介した清水靖晃さんがかつて手がけたバッハのチェロスィートを聴いていても、ある種の予定調和を超えたインプロビゼーションの部分に、バッハが新しいバッハになる瞬間が感じられます。とても快感です。

今回のマルカンドレ・アムラン( Marc-André Hamelin による曲は、いわばその集大成版。すべてが不協和音でいて(何せ指が10本では弾けないくらい大量に音を鳴らすのですから、どのように弾いてもすべてが不協和音です)それでいてグルーブ感がとってもチャーミングなのです。

Player piano vol.6

1. Music for Player Piano (1964)
2. Spectral Canon for Conlon Nancarrow (1974)
3. Study for Player Piano (1994)
4. Toccata for Player Piano (1987)
5. Four Pieces for player piano and prepared player piano (1999)
6. Funf Stucke fur Player Piano (1997/2004)
7. Les Sons Rayonnants fur zwei Player Pianos und Synthesizer (2000)
8. Solfeggietto a cinque for Player Piano. (After C. P. E. Bach, 1999)
9. Pop Music? (1998)
10. Circus Galop for two Player Pianos (1991-1994)

playerpiano今回の名盤は、いわばピアノロールの楽曲だけを集めたもの。この中で、8~10曲目が、マルカンドレ・アムラン( Marc-André Hamelin によるものですが、この中でもおすすめは、「Circus Galop for two player pianos」。ひとつひとつの瞬間は不協和音ですが、このスピードでの連続した瞬間の積み重ねは、別世界を創造します。そこにはひとつの調和があり、音楽があるのです。ここまでくると、いわば微分的な美しさとういうべきなのかもしれません。

原始生命は、きっとカオスの原始海洋から生まれたのだろうといわれていますが、そこから生まれた人間が目指して文明は、むしろその逆でカオスの中から整然とした何かを抽出しようとしてきたところがあります。そして音楽もまたその流れであったのでしょう。

しかし、アンドレ・アムランの作曲にはあえてカオスが持ち込まれているのです。まさに20世紀が好んだニ項対立の図式的文明を超えたところにあるような気がします。
カオスであり調和である。20世紀にめざしてもできなかった何かを、いま21世紀を迎えた私たちはその新しい萌芽を感じることができる・・その幸福の端緒を感じるのです。

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