投稿者 undecuplet | 2010/01/31

那覇の書店にて:伊是名島紀行(田口ランディ)

出張中、那覇。合間の時間で、本屋に行った。

那覇には、昨秋に巨大な本屋さんが2軒たてつづけにできた。1軒は宮脇書店。1軒はジュンク堂書店。このジュンク堂がすごい。
国際通りからちょっとはいったところ。かつてダイエーが入っていたビルにオープンした。書店内に入ると驚くのだが、新宿三越のジュンク堂とほぼ同じ規模だ。3フロア。
新宿と那覇と。その行き交う人の数の違い、背景人口の違いを考えただけで、この試みの突飛さを想像できるだろうというもの。ひとごとながら、はやりのマーケティングリサーチをどのように行ったのだろうとつい思ってしまう。
しかし、開店以来、人が絶えない。いつも、少なからず人がいて、書店らしい賑わいをみせている。すばらしい。

考えてみれば、沖縄は書籍文化が盛んだ。どこの本屋にいっても、地元の出版社の沖縄コーナーが広々と存在している。他の地域、もちろんローカルの存在しない東京にも見られない光景。沖縄を「もっとも近い外国、遠い日本」といった人がいたけれど、それだけ独立した文化が深く根づいているということなのだろう。

そんななか、「季刊カラカラ」のバックナンバーをみつけた。伽楽可楽という地元の出版社が発行していて、いわゆる「沖縄の旅と暮らし」を扱った本だ。さすがにこのような写真を中心としたムックは、キンドル(kindle)ではなく、いつも手にとってみたいタイプの冊子のひとつだ。たまたま手にとったのは、VOL.27 2008年の号

特集は、「オキナワ、島々をめぐる物語。」

ちょっと目次をみてみると・・・

・伊是名島紀行~田口ランディ
・北大東島~岸壁に囲まれた小さな島を旅人が訪れる理由とは?
・伊良部島~小さな島のパン工場 まるそうパン
・この夏訪れたい個性的な島々の宿
・石垣島~移住者たちが創る新たな食卓
・島人御用達~石垣島の夜を深く彩る穴場へ
・食堂でめぐる沖縄の島々
・伊江島~島のソーダがあればいえないことも…。
・アイランドナビ

沖縄の出版社ならではの、沖縄・離島濃度の濃さがハンパではない。

この中で、僕のおすすめは、田口ランディさんの伊是名島紀行。彼女の伊是名島への2泊3日の旅を綴ったものだが、静かな感性のトーンがいい。

ちょっとだけ引用させていただく・・

自然は夜明け前のほんの一瞬、その様相を変える。どう言ったらいいのだろう、世界がものすごいエネルギーを内部に満たす瞬間がある。夜明けを予感して、木々も動物も胸騒ぎを感じ、どんどん緊張が高まっていく。樹や鳥たちにとって、太陽は毎日死んで毎日生まれているんだ。だから、夜明け前になると人間以外の生き物たちは太陽の誕生を待ち望み、ぶるぶると振るえおののいているのだ。太陽が昇る瞬間、森の生物にあまねく命が与えられる。ぐうぐう寝ているのはマヌケな人間くらいなのだということを、知った。

沖縄の離島にいったことがある人の、ある割合の人々にとっては、とてもよくわかる感覚だろう。この自分が「純化せねばならない」と思わせられるほどに、自然がそれこそナチュラルな形で、人間のあいだに溶け込み、包容してくる。

この感覚は、ことばにすると恥ずかしくなるほどに、シンプルにストレートなものなのだが、それゆえ、その表現は常にその表現者の恥ずかしさとの躊躇の戦いになる。このあたりのことを、ランディさんはこのエッセイの後段の部分で巧みに書いているのだが、そのあたりは、ぜひ書店で手にとって見てみてほしい。

国際通りに面した市内中心部に宿泊している。しかし、この喧騒の通りから一歩裏手にはいるだけで、そこは別世界になる。向かいはなだらかな丘陵状の静かな公園だ。

空気が穏やかに漂っているのがわかる。夜明けがまもなくやってくる。そしてこのような街であっても、朝はとてつもなく新鮮で素敵で、神聖であるのを感じた。

karakara


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