投稿者 undecuplet | 2010/02/12

「スタイルオブ 市川崑」 ~ 木星からのメールが届く頃には:一倉宏

DVD作品「スタイルオブ 市川崑」ichikawa

映画監督市川崑さんのCM集です。

【収録作品】

■市川崑CM 集

・「サントリーレッド、オールド」大原麗子主演(1980-1990)
・「ホワイト・ライオン」加賀まりこ主演 (1966)
・「サントリーオールド」ボトル人形(1977)
・「ディスカバー・ジャパン」(1971)
・「新幹線岡山開業 汽車会見篇」愛川欽也ナレーション(1972)
・「オールトヨタセール」石坂浩二出演(1975)
・「ぺんてるシャープ(万年CIL) (JET CLICK)」コマ撮りアニメーション(1979)
・「龍角散」(1983)

■映像作品

・ 『京』(1969)約37分
・『新説カチカチ山』(1936) 約7分
・『娘道成寺』(1945)約20分

「東京オリンピック」や「犬神家の一族」で有名な映画監督市川崑がずっとシリーズでてがけていた「すこし愛して、なが~く愛して。」。おなじみの「サントリーレッド、オールド」のサントリーのCMをたっぷりとみることができます。

大原麗子さん出演のこのCM。こんなにたくさんあったのかと思いますが、それぞれに時代の匂いが感じられて、味わい深く、ある種の郷愁にとらわれました。

同じCMでも60秒、30秒、15秒と各パターンにより、何を大切に何をたてるかが違います。そのあたりの演出が与えられた時間により、みごとに戦略的につくりわけられている感じもじっくりと堪能することができ、なかなか貴重な体験です。

東京オリンピックのあと、イタリアのオリベッティの委嘱により作成した作品「京」。
龍安寺からはじまるあまりにスタイリッシュな市川ワールド。谷川俊太郎さんのシナリオといい、音楽:武満徹 監修:丹下健三、亀倉雄策とすごいスタッフキャスティングです。
彼が監督した谷崎潤一郎原作「細雪」という作品を思い出しました。いわゆる暗部を貴重とした陰影の世界。今回はDVDで観ましたが、本来ならば黒の中の細部を描けるフィルムでのみ表現できる世界なのだろうと思い、ぜひフィルムでみてみたいと思いました。

このように数多くのCMだけを抽出してみると、あららためてCMは奥深い世界なのだと感じます。短いコピーと第一印象で状況を伝える世界観。先日、この欄でもふれましたが、 Tokyo Copywriters’ street のサイトで、一倉宏さん自身による「木星からのメールが届く頃には」をみつけました。素敵です。転載します。

木星からのメールが届く頃には

ストーリー 一倉宏
出演  一倉宏

僕たちの船が旅立ってから ずいぶん長い時がたちました
それ以上に いまの君と僕との距離は  気が遠くなるほどです

まだ火星のあたりにいた頃は まいにちメールしましたね
僕たちは 人類史上いちばんの長距離恋愛だ と 笑って

ときどき
地球のなんでもないことを 懐かしく思い出します
たとえば 風です
木立やカーテンを揺 らしたり
頬や髪 からだで感じる あの風
雨の降り出す前ぶれの かすかに湿った風の匂い
はじめて半袖のシャツにした朝の  風の肌ざわり
寒がりの僕があんなに悪態をついてた
刃のような木枯らしでさえ いまは懐かしい
春のある日 公園で あなた の前髪を揺らした
そよ風ならば よけいに

僕たちの乗った宇宙船では 風を感じることはなく
ただ 二酸化炭素を吸収 して 酸素を補給する空気が
ダクトから しずかに流れるだけです

個人専用のハードディスクに 図書館ひとつぶんも
貯め込んできた本も それから映画も 音楽も
なんだかもう 飽きてきてしまいました
それにくらべて カプセルの窓から見える宇宙は
まいにちでも見飽きない美しさです
あなたに見せたかった
ひとつひとつの星が どんなにちいさく見えても
ちゃんとそこにある  それぞれに光ってる
なんていうのか 宇宙を実際に見ていると 信じられる
宇宙という存在が はっきりとある そのすべてが

ああ なんて伝えたらいいのか わかりません
だからやっぱり 美しい としかいえない
あなたの好きだった星 シリウスは手の届きそう なほど
僕の好きな星 アルデバランも ほら そこにある

木星に近づく頃にもらった あのメールは
たしかに 僕を驚かせ どうしようもなく悲しませたけれど
いまは すべてを理解できると思っています
宇宙のみごとなパノラマ以外は なんにもな いここで
まいにちまいにち同じように流れる この時間でさえ
それは 気の遠くなるような長さだったのだから

一日一 日の 太陽が沈み 月が浮かび
風が違い 光が違い 雲が動き 色が変わり
日付けが変わり 季節が変わり 街のショウウインドウが変わ り
春が去り 夏にめぐり会い 秋を感じて 冬を迎え
さまざまなひとに会い 数えきれないエピソードがあり
まいにちまいにち が 目のまわるほどに動く
その 地球の日々で あなたが
どんなにどんなに 長い時間を過ごしたのか ということを

だからいまは 理解できました
ごめんなさいを 言わなければならないのは 僕のほうだった
あまりに遠く あまりに長すぎる この旅に 出た

そろそろ木星も遠ざかる航路に就きました
僕の撮った 木星の写真を送ります
射手座生まれのあなたには 幸運 の星だから

どうぞお元気で みなさんによろしく
それから

結婚おめでとう

さて、大川泰樹さん、西尾まりさんほかが出演する、Tokyo Copywriters’ street live ももうあと1週間余りとせまってきました。一倉宏さん、中山佐知子さんの作品も予定されているとか・・本当に楽しみです。

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