投稿者 undecuplet | 2010/02/14

ファランドール(ボブ・ジェームス)~ゴールドベルグ(清水靖晃):音楽境界領域の悦楽

bj2ここのところエウミール・デオダート(Eumir Deodato)ほか、クラシックとジャズのいわゆるクロスオーバー的アルバムをご紹介してきました。となるとかかせないのが、ボブ・ジェームス(Bob James )ですね。

Bob James 2(ボブ・ジェームス2)

1.Take Me to the Mardi Gras(夢のマルディ・グラ)
2.I Feel a Song (In My Heart)(アイ・フィール・ア・ソング)
3.Golden Apple(ゴールデン・アップル)
4.Farandole (L’Arlesienne Suite No. 2)(ファランドール)
5.You’re as Right as Rain(アズ・ライト・アズ・レイン)
6.Dream Journey(ドリーム・ジャーニー)

いわゆる、クラシックとジャズの境界領域・・ということでとらえてみると、先日のジャック・ルーシェ(Jacques Loussier)のような方法論もあれば、エウミール・デオダートのような手法もあり、もちろん、昨日紹介したフリードリッヒ・グルダ(Friedrich Gulda)のようにクラシックのポジションからのトライアルもあれば、清水靖晃さんのような試みもあるでしょう。

デオダートの「ツアラトゥストラはかく語りき」が1973年、「ボブ・ジェームス1」が1974年ですから、ほぼ同時期にクロスオーバー的な楽曲で評判となりました。しかし一方、デオダートのブラジリアンな奔放さに比べ、こちらは精緻な譜面的編曲のスタイルと、両極端な編曲スタイルの個性がさらに話題を呼んだのを思い出します。

1939年生まれのボブ・ジェームスは、クインシー・ジョーンズの元で修行し、後にデオダートと同様、クリード・テイラーと専属契約という経歴の持ち主。その後、自らのレーベル“Tappan Zee”を創設したり、Four Playに参加したりと、活躍をつづけています。

ところで、クラシック原曲ということになると、ムソルグスキー(Modest Petrovich Mussorgsky)作曲の「はげ山の一夜」の編曲版(CTIでの1枚目のアルバム「BOB JAMES 1」にが含まれています~グラミー賞候補になりました)とこのアルバムに含まれるビゼー(Georges Bizetの「アルルの女組曲2番のファランドール」が有名です。

「はげ山の一夜」では、ほぼワンコードで書き上げた編曲で注目を浴びたのですが、今回の「ファランドール」は直球ストレート。真正面からジャズライクに編曲をしあげています。また、スティーブ・ガットやエリック・ゲイル、ヒューバート・ローズなどその時期の錚錚たるフュージョンメンバーが名前を連ねた贅沢な1枚となっています。

このアルバムにおいては、「ファランドール」はもちろんまさに編曲魂のたまものなのですが、おすすめのもうひとつは、ポール・サイモン(Paul Simon)原曲の「マルディ・グラに連れてって」でしょう。ポール・サイモンの「THERE GOES RHYMIN’SIMON」に収録されていたこの「Take Me to the Mardi Gras」をとてもチャーミングにアレンジしてみせました。

原曲は、アコースティックなポール・サイモンサウンドでスタート、後半、祝祭的なにぎやかな音色での展開部というつくりだったのですがですが、ボブ・ジェームスもそのつくりを踏襲し、さらに軽やかにしあげたのでした。もはやこの曲はこちらのボブ・ジェームス版の方がもはや有名かもしれません。

近年、クロスオーバーということばももはや死語かもしれませんが、ジャンルを超えた音楽の試みはつづいています。先日ご紹介した清水靖晃さんの「バッハ・ゴールドベルグ演奏会」には、このフュージョンにおけるクロスオーバーとは全く異なる意味で、ジャンルを超えた音楽の融合を感じます。

かつて和歌の世界で、万葉集があり、古今和歌集があって、その微分的解釈、評論的試みとして新古今和歌集の悦びが組らたてられてきたように、音楽にもある種の微分的悦楽が大切なのだろうと思います。現代のさまざまなアーティストがその試みに挑戦するのは、音楽をさらに深めていく現代において、アーティスト精神をかきたてる何かがきっとあるからなのだろうと思います。

文化とはいつの日も、創造と解体ですが、その意味でも、新しいゴールドベルグを聴くことができるのは、既に評価の定まった古典の解体の試みゆえに、興味をそそります。清水靖晃さんのゴールドベルグ・・その試みまであと2週間となり、楽しみなカウントダウンな日々となってきました。待ち遠しい気持ちでいっぱいです。


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