投稿者 undecuplet | 2010/05/08

新進気鋭の指揮者グスターボ・ドゥダメルを生んだ音楽教育システム「エル・システマ」を描く~ドキュメンタリー:EL SISTEMA

「エル・システマ」・・・ベネズエラで行われている音楽教育システムの名称です。貧困の中で、どうこどもたちが音楽とともにかわっていくか・・その姿を描いたドキュメンタリー作品(ブルーレイorDVD)を、今日はご紹介します。

まず、発売元とNHK放送時の紹介を引用してみましょう。

■キングインターナショナル
新鋭指揮者ドゥダメルの活躍で注目を集めているベネズエラの画期的音楽教育システム、エル・システマを取り上げたドュメンタリー映像。
「エル・システマ」とは、ベネズエラ・ボリバル共和国の元文化国務大臣、ホセ・アントニオ・アブレウ博士が立ち上げた音楽教育システム。現在、ベネズエラでは25万人におよぶ若者たちがこのシステムによりクラシック音楽の演奏を行っています。治安悪化が著しく凶悪犯罪の増加が問題となっているベネズエ ラ。また貧困が社会問題となり子供たちを犯罪から救うため、1975年、アブレウ博士は社会活動とクラシック音楽を結びつけ、「演奏技術の習得」ではな く、共同作業に参加させるため演奏を開始。活動開始から30年過ぎ、国立オーケストラ「シモン・ボリバル・ユースオーケストラ」を生み出し、今をときめく 名指揮者グスターボ・ドゥダメル、ベルリン・フィル最年少コントラバス奏者エディクソン・ルイスを輩出しています。
ドキュメンタリーでは、最も危険な地域とされるバリオに立つ音楽学校での 彼らの日常を通して、「エル・システマ」が彼らの人生をどう変えたのか、クラシック音楽が社会になにをもたらすのかを描いています。

【収録情報】
・ドキュメンタリー「エル・システマ」~音楽が人生を変える!
監督:パウル・シュマツニー、マリア・ストッドマイヤー
出演:グスターボ・ドゥダメル、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ
・ボーナス映像:experience an audition for the National Children’s Orchestra of Venezuela

収録時間:本編100分、ボーナス9分
画面:カラー、16:9
音声:PCMステレオ、DD5.1、DTS5.1
原語:スペイン語
字幕:英語、フランス語、スペイン語、日本語
NTSC
Region All

■NHK
「エル・システマ」とは、ベネズエラ・ボリバル共和国の元文化国務大臣、 ホセ・アントニオ・アブレウ博士が立ち上げた音楽教育システムで、 現在、ベネズエラでは25万人におよぶ若者たちがこのシステムによりクラシック音楽の演奏を行っている。 治安悪化が著しく凶悪犯罪の増加が問題となっているベネズエラ。 首都カラカスだけでも500万人以上が貧困地域に暮らし、その半数はこどもたちであるという。 貧困・社会からの遮断・成功の見込めない未来が構造的循環を作り上げている。
1975年、アブレウ博士は貧困地域のこどもたちを路上生活からすくうために、 社会活動とクラシック音楽を結びつけることを始めた。 「演奏技術の習得」ではなく、「共同で演奏を行う」ことを第一義として演奏を開始した。 活動開始から30年以上を経、システムは国立オーケストラ「シモン・ボリバル・ユースオーケストラ」を生み出し、 今をときめく名指揮者グスターボ・ドゥダメル、ベルリン・フィル最年少コントラバス奏者エディクソン・ルイスを 生んだ。そして、アブレウ博士の構想は、30年間にこのシステムの出身者からは犯罪者がほとんど出ていない、 という現実に結実している。

ドキュメンタリーでは3人の青年に密着。カラカスで最も危険な地域とされるバリオに立つ音楽学校での 彼らの日常を通して、「エル・システマ」が彼らの生活をどう変えたのか、 クラシック音楽が社会になにをもたらすのかを描いていく。
(NHK 放送時のweb紹介から)

上質でフォトジェニックなカメラ、巧みな編集・・ドキュメンタリーとして、素晴らしい作品です。教育という視点からだけみた「社会システム」のドキュメンタリー作品というのは、あるようでいてなかなかないので、その意味でも、新鮮です。
取り扱われている対象は、音楽教育システムです。しかし実は、その背景となっている「貧困」「暴力」だけではなく、「教育」「家庭」「幸福感」「労働感」といった、日本の社会が抱えているさまざまな課題に対して、刺激にあふれる、ある種の回答例の提示でもあります。

世界のいろいろな地域での社会主義システムが、さまざまに変容していく中で、このエル・システマだけが、ある種の成功をもって語られるのは、なぜなのか。そのあたりの回答をこの作品は、ストレートには語っていません。確かに、そこには、ひとりの突出した教育者・アブレウ博士の情熱によるところがあり、その彼のインタビューは随所に挿入されているのですが、彼のことばだけで、みながなぜ動かされたか・・というところは、あきらかにされません。でも、だからこそ、まさに「宣伝」ではない本当の社会のありよう、本当のドキュメンタリーの匂いがそこにはあります。主役は、指導者ではなく、民ひとりひとりだからということが、まさに伝わってくるのです。

よくある社会主義国のような、指導者信仰や、理想国家像というものも描かれていません。ただそこにある現実と、それをのりこえていこうとする一般の民の姿に・・そして、あくまでこどもたちに対する教育者として、「音楽」と「こども」の関係についてだけ語るアブレウ博士の真摯な姿が、逆に共鳴、共感をよぶのかもしれません。

以前、アメリカ、ワシントンにある聾の人のための大学・・ガルーデット大をたずねたことがあります。そのとき一番印象に残っているのは、学生食堂での、生徒たちの楽しそうな昼食風景でした。数百人にもおよぶ学生たちが、楽しそうにそれぞれに会話をしています。誰もが本当に楽しそうに、会話をしているけれど、そこは一切無音の光景なのです。笑顔と手話の会話の花がすべてのテーブルでさいている・・その神々しいまでの情景は、決して忘れることのできないものでした。人間のコミュニケーションの力というものを、あらためて信じた瞬間でした。

今回、登場する楽団には、聾のこどもたちの手話によるコーラスもでてきます。彼らの手話によるコーラスもまぶしいほどに美しい。それぞれの手にはめられた白い手袋の動きと楽しそうに歌うかれらの表情をみていると、無条件の感動につつまれる自分を感じました。

ちょっと硬派ですが、みごたえのあるドキュメンタリー作品です。おすすめです。

※関連投稿です
フィエスタ!(FIESTA)~グスターボ・ドゥダメル(GUSTAVO DUDAMEL)&シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ(SIMON BOLIVAR YOUTH ORCHETRA OF VENEZUELA) http://bit.ly/axImfV


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