upscaler とはすごい機械だ。
なにせ、CDの圧縮音源を768kまで拡張し、ハイレゾにしてしまう
最所は、何かキツネにだまされたような変な気持ちがしたが、
聴いているものが、すべて素敵な余韻のあるハイレゾ的な柔らかな
サウンドになるのになれると、
CDが昔からこんな音だったような気がしてくるかふしぎだ。
+++++++

FPGAでは、デジタルデータからフィルタをかけてアナログ信号に戻す工程で、
正確なアナログ波形に戻すために、独自の「WTAフィルタ」を使う。
アナログの音(正弦波)がADコンバータによってデジタル化され、
CDやデジタル配信されるわけだが、その際に、トランジェントの開始点で
標本化して得られるデジタルデータは、細かく見るとカクカクとした階段状になっている。

フィルタをかけてアナログ信号に戻す際、
単純なフィルタではタイミング誤差が100μSec以上あり、正確な波形に戻らないという。
そこで、フィルタのアルゴリズムを改良し、無限に処理ができるフィルタを使って
補完するというコンセプトで、補完処理を増やしていく。
これが「WTAフィルタ」であり、FIRフィルタの処理細かさをタップ数で表している。
フィルタの細かさが増えるほど、時間軸方向の精度がアップし、
トランジェントの良さや、リズムの再現性などで効果が出る。

+++++++

というような理屈らしいのだけれど、これを開発したロバート・ワッツさんの耳は
とても素敵な感性なのだと思う。
うまくいえないのだけれど、でてきた音がとても音楽的なのだ。
圧縮されたものが元のもの以上になるというのは、ある意味、オカルト的でさえあるけれど
これは、聴いた人には得られるふしぎな特権なのだ。

僕はとても幸福な体験の日々にいる。

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最近、ユジャワンやアムランといった高速プレイのいわば21世紀型ともいうべきピアニストが盛んだが、ブレハッチはショパンコンクール優勝のボーランド人というまったく、ある意味純粋・生粋のコンサートピアニスト、ショパン弾きなのだ。
モーツァルト、ベートヴェン、シューマン、ショパン・・すべてに飽きさせることなく、きわめて音楽的にチャーミングに、いわばピアノ本来の楽しさを奏でる。いま現存するこのタイプのピアニストとしては、その貴公子ぶりもあわせ、ピカイチだろう。
コンサートにきた誰もが幸福につつまれた一夜だった。

 

モーツァルト:ロンド イ短調 K. 511
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第8番 イ短調 K. 300d
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 Op. 101
シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 Op. 22
ショパン:4つのマズルカ
ショパン:ポロネーズ 第6番 変イ長調 「英雄」 Op. 53

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投稿者 undecuplet | 2018/03/21

ソヒエフの時代がやってきた

トゥールーズ・キャピタル国立管弦楽団を2晩きいた

トゥガン・ソヒエフのよさはどこにあるのだろう。
その軽やかな指揮ぶりか、あるいは楽団員の楽しそうな様子か。
あるいはそのどちらもがいい具合に化学反応を起こして、
とても表情豊かな音楽がいつも醸し出されるのだ。
それでいて、全体主義かというとそうではなく、個々の能力をひきだすことも忘れない。
シンバルや大太鼓を奏でる白髪の老紳士、
美しい響きが音楽の大きな味付けになるハープ・・
とりあげたらいとまがないほどに個々の力の集合が
全体として素敵な音楽になっているのだ。
これから数十年、彼のような指揮者がいることがクラシック音楽界において
素敵な未来を保証してくれることになるのだろう。

指揮:トゥガン・ソヒエフ
フルート:エマニュエル・パユ
トゥールーズ・キャピタル国立管弦楽団

グリンカ:オペラ『ルスランとリュドミラ』序曲
ハチャトリアン(ランパル編):フルート協奏曲
チャイコフスキー:バレエ音楽『白鳥の湖』から

 

指揮:トゥガン・ソヒエフ
ヴァイオリン: 諏訪内晶子
トゥールーズ・キャピタル国立管弦楽団

グリンカ:オペラ『ルスランとリュドミラ』序曲
ドビュッシー:交響詩「海」
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op.19
ストラヴィンスキー:バレエ『火の鳥』(1919年版)

 

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梅雨空のもと、新たなホンダ、アコードが発売になった。あの大きさのセダンで燃費30キロはとてつもなくすごいが、その展開のCMも、上質で心地よい。なつかしくそして新しいなにかがそこにはある。

 

 

 

 

 

写真 (7)いつかはみたいと思っていたクレイジー・ケン・バンド。たまたまよこはま、モーション・ブルーでライヴをすると知り、あの小さな小屋でみられるのはいいかもと思って馳せ参じた。純粋に楽しめるショウ。男性11人の巧みに息のあったチームが繰り広げる世界。「ゴッドファーザー~愛のテーマ」ではじまり、途中、リクエストにもこたえ、動じることなくこなすことなどなかなかのもの。最後は、「また逢う日まで」「マイ・ウェイ」を聴けて、本当に堪能した時間だった。

 

 

写真 (2)

 

 

 

 

 

 

 

写真 (1)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎年、この時期に一日だけ催されるあっこちゃんのソロリサイタル。今回も爆発でした。天賦の才はひとりのひとにだけ捧げられたのだろうけれど、彼女の才能は常に全方位的でそれでいて常に矢野顕子であるすばらしさ。堪能しました。

 

 

写真 (6)デュトワが振るとなぜ、こうもわくわくするのだろう。
1曲目のラヴェル・優雅で感傷的なワルツは、見事に何の破綻もなくきかせる。サン・サーンスをはさんで、当日最後の大物曲、リムスキー=コルサコフのシェヘラザードは圧巻だった。彼が振ると楽曲がひとまわりもふたまわりも大きくなり、グルーブ感満載なのだ。そうでなくとも映画音楽のような映像的音楽が、色彩豊かに広がる。デュトワが振るN響は、デュトワ色になる・・その意味で、それを実現できるすばらしい実力をもったオーケストラになのだな、とあらためて思わせられた。

 

ラヴェル:優雅で感傷的なワルツ
サン・サーンス:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品22
リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」


出演
指揮:シャルル・デュトワ
ピアノ:児玉 桃

NHK交響楽団

 

20121201_121ツィメルマン今回来日の最後の公演を見た。ドビュッシーはサントリーにつづき2回目だが、もちろんすばらしい。だが、ショパンのピアノ・ソナタ第三番になるやいない、別人のよう。ドビュッシーはどちらかといえば慎重に感性あふれる音を探していた感じだが、ショパンはもうお手の物。あふれる内面からの潮流そのものに身をまかせるごとく、もう絶品。これは、もうショパンは、ツィメルマンにとどめをさすな、と思わざるを得ない。

トリフォニーホールでは、ツィメルマンははじめてときいていたが、その音色は、サントリーほど響きすぎず、ピアノ本来の音色。ツィメルマンならではの残響が美しい。いい一晩だった。

クリスチャン・ツィメルマン[ピアノ]

ドビュッシー/版画より
1.パゴダ 2.グラナダの夕べ 3.雨の庭

ドビュッシー/前奏曲集第1巻より
2.帆 12.吟遊詩人 6.雪の上の足跡 8.亜麻色の髪の乙女 10.沈める寺 7.西風の見たもの

シマノフスキ/3つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)

ショパン/ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58

写真 (5)サントリーホールで、ツィメルマンをきいた。そもそもはオール・ドビュッシープログラムとして案内があったもの。一部曲目に変更があり、ブラームスにかわったが、それでも版画、前奏曲集の中からのよりすぐり。素晴らしいドビュッシーぶりを堪能できた。

 

ドビュッシーは絵画的音楽といわれるが、ツィメルマンが弾くとまさに映像的だ。繊細さ・精緻さという意味では、ダン・タイ・ソンのピアノも本当に好きだけれど、ツィメルマンが弾くと弱音の余韻から、強烈な爆音まで素晴らしいピアノならではの、まさにピアノフォルテという楽器ならではのダイナミックレンジを楽しめるのだ。

僕自身は、今回は、特に「雨の庭」、「雪の上の足跡」「沈める寺」が特に楽しめた。

 

先月、ポリーニのベートーヴェンをきいたのだけれど、そのとき、平野啓一郎さんがツィッターで「60代のF1レーサーのよう」とつぶやかれていた。まさにそんな感じだった。今日のツィメルマンも聴いていたらしく、彼は「光輝に満ちた音」とつぶやかれていて、やはり、まさに、と思った。同じものを聴いて共感できるのはふしぎな体験だなとも感じた。

 

 

 

ドビュッシー:版画
1.パゴダ 2.グラナダの夕べ 3.雨の庭
Debussy: Estampes: 1. Pagodes 2. La soirée dans Grenade 3. Jardins sous la pluie

ドビュッシー:前奏曲集 第1集 より
2.帆 12.吟遊詩人 6.雪の上の足跡 8.亜麻色の髪の乙女
10.沈める寺  7.西風の見たもの
Debussy: Préludes 1 (Selection)
2. Voiles 12. Minstrels 6. Des pas sur la neige
8. La fille aux cheveux de lin 10. La cathédrale engloutie
7. Ce qu’a vu le vent d’ouest

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シマノフスキ:3 つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)
Szymanowski: 3 Preludes from op.1

ブラームス:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰へ短調 作品 2
Brahms: Piano Sonata No.2 F sharp minor Op.2 (4 December only)

投稿者 undecuplet | 2012/11/24

松本竣介展 世田谷美術館

松本竣介の生誕100年を記念しての巡回展が1年を経て最後に、紅葉の輝く砧公園の世田谷美術館にやってきた。

36歳という若さで亡くなった竣介。戦争という大きな価値転換のまっただ中を生き抜いて彼はさまざまな絵を描いた。そのひとつひとつがこころにささる。

まさに純粋な表情の自画像。そして、このチケットにあるY市の風景。晩年の抽象的試み。そのどれもがまさに一直線な生き方をしてきた松本竣介と重なりあう。

詩を書き、同人誌を編纂・発行し、絵を描く。すべての分野に全力投球のそのある種の社会運動家のようななりわいは、ある時代を背負った美術者の存在そのものであり、決して現代におきかえてみてはいけないのだろう。しかし、数々の作品をみて、彼と静かに話をしてみたかったという思いにとわれた。

 

 

 

 

待ちに待ったキンドルpapewhite3Gがやってきました。ああ、これでなんと4台目のキンドル。

箱の色はかわっていますが、大きさは、以前のキンドルタッチとほぼ同じ。
もってみるなり、その軽さと薄さに驚き。

以前から、本を読むときには、寝転がってよむときが多いので、
厚い本は難渋していたのですが、これなら大丈夫。

また、ペーパーホワイトのほんわりとした明るさは、なにげに、目にやさしく、
これに慣れると、ちょっとkindle touch の照明のなさはものたりなくなるかも。
使いがっては同じ。日本語対応になっての縦書きはもちろんありがたいことです。
これで、海外版と同じように、新聞が毎日配信されたりすれば文句なしなのですが、現状そのようなサービスはなし。待たれるところです。

今回加わった、明るさの調整はかなり自由に変更可能のようです。電池の持ちはほとんど気にしなくてもいいけれど、昼間などは、バックライトなしでもいけるので、オフにしてもいいかもしれませんね。

それにしても本当に最強の読書マシン。いろいろと自炊も試みてきたのですが、完璧にみやすいわけでもなく、その意味で、キンドルストアができて、電子書籍そのものが販売されたのはまさに朗報でした。これからは、電子書籍の購入が増えてしまうので、それはそれでお財布が心配になってきました。

この人の声を聴いていると、とてもなつかしい気持ちになるのはなぜだろう。久しく、低音ボイスの歌手というのがあらわれていないからだろうか。テレビをにぎあわせている声がなぜか最近は高い声が多いからかもしれない。

AORの曲から、CLOSE TO YOU、ヒット曲のTHIS IS WHAT YOU ARE までたっぷり堪能できた90分だった。ベースのトマソ・スカナピエコはなかなか達者で、彼を眺めているだけでも楽しい。低音とはしかしなんてチャーミングな武器なのだろうと思った。

 

Mario Biondi(vo)
マリオ・ビオンディ(ヴォーカル)
Claudio Filippini (p)
クラウディオ・フィリッピーニ(ピアノ)
Michele Bianchi(g)
ミケール・ビアンキ(ギター)
Daniele Scannapieco (sax,fl)
ダニエレ・スカナピエコ(サックス、フルート)
Giovanni Amato (tp)
ジョヴァンニ・アマート(トランペット)
Giuseppe Di Benedetto (tb)
ジュゼッペ・ディ・ベネデット(トロンボーン)
Tommaso Scannapieco (b)
トマソ・スカナピエコ(ベース)
Lorenzo Tucci (ds)
ロレンツォ・トゥッチ(ドラムス)
Luca Florian (per)
ルカ・フロリアン(パーカッション)

 

 

 

 

シチリア島に生まれ、12歳から歌手活動を開始。ルー・ロウルズ、アル・ジャロウ、アイザック・ヘイズを敬愛し、17歳のときにはレイ・チャールズのオープニング・アクトも務めた。2006年リリースのアルバム『ハンドフル・オブ・ソウル』は、スケーマ・レーベル始まって以来の大ヒットを記録。その後もチャカ・カーンやインコグニートとの共演を果たすなど範囲を拡げ、最新2枚組アルバム『Mario Biondi And The Unexpected Glimpses:Due』もベスト・セラー中だ。リスナーの心を掴んで離さない低音ヴォイスと、2メートルを超える長身。数十年にひとりの逸材といわれるマリオのカリスマ性溢れる存在感がすばらしい。

 

 

1曲目のDOWN TOWNからおそろしく音がいいことに驚かされる。そして、くりひろげられるあのなつかしい曲の数々がすべて、この透明な空気感となって、よみがえるのだ。

すべてがもちろん山下達郎節。

アレンジこそが時代の空気だからといって、再録音を原則としない山下達郎の心情も、こうして30余年をふりかえっていっきにきくととてもよくわかる。

CDというパッケージメディアがいつ終わるかわからないからといって企画されたこのベスト盤。まさに、CDの究極の世界だろう、見事だ。

 

 

OPUS
山下達郎

ディスク:1
1. DOWN TOWN
2. 雨は手のひらにいっぱい
3. パレード
4. WINDY LADY
5. LOVE SPACE
6. SOLID SLIDER
7. PAPER DOLL
8. LET’S DANCE BABY
9. BOMBER
10. 潮騒(THE WHISPERING SEA)
11. FUNKY FLUSHIN’
12. 愛を描いて-LET’S KISS THE SUN
13. RIDE ON TIME
14. SPARKLE
15. LOVELAND,ISLAND
16. あまく危険な香り
17. YOUR EYES

ディスク:2
1. 悲しみのJODY(She Was Crying)
2. 高気圧ガール
3. クリスマス・イブ
4. スプリンクラー
5. THE THEME FROM BIG WAVE
6. I LOVE YOU・・・・PartI
7. 風の回廊
8. 土曜日の恋人
9. ゲット・バック・イン・ラブ
10. 踊ろよ、フィッシュ
11. 蒼氓
12. アトムの子
13. さよなら夏の日
14. ターナーの汽罐車
15. エンドレス・ゲーム
16. ジャングル・スウィング
17. おやすみ、ロージー-Angel Babyへのオマージュ

ディスク:3
1. ヘロン
2. 世界の果てまで
3. ドリーミング・ガール
4. ドーナツ・ソング
5. いつか晴れた日に
6. 君の声に恋してる
7. 2000トンの雨 [2003 NEW VOCAL REMIX]
8. 忘れないで
9. FOREVER MINE
10. ずっと一緒さ
11. 街物語
12. 僕らの夏の夢
13. 愛してるって言えなくたって
14. 愛を教えて
15. 希望という名の光

ディスク:4
1. 硝子の少年 [UNRELEASED DEMO VOCAL]
2. 酔いしれてDeja Vu [UNRELEASED DEMO VOCAL]
3. GUILTY [UNRELEASED DEMO VOCAL]
4. EVERY NIGHT [2012 NEW REMASTER]
5. 夜のシルエット [FIRST ON CD]
6. 希望という名の光 [2012 ACOUSTIC VERSION]

投稿者 undecuplet | 2012/09/24

濃厚なサウンドトラック~COWBOY BEBOP

僕自身は、残念ながらみたことがないのだが、名作の誉れ高いアニメシリーズのサンドトラック。音楽は、あの菅野よう子さん。
すべてに完成度の高い素晴らしい音楽群。

僕は特に、CAR24とかが好きだけれど、全体としてこの音楽の濃度の高さをみるとき、きっとアニメ作品も圧巻だったのだろうと思われてみたくなった。

COWBOY BEBOP
菅野よう子

1.Tank!
2. RUSH
3. SPOKEY DOKEY
4. BAD DOG NO BISCUITS
5. CAT BLUES
6. COSMOS
7. SPACE LION
8. WALTZ for ZIZI
9. PIANO BLACK
10. POT CITY
11. TOO GOOD TOO BAD
12. CAR24
13. The EGG and I
14. FELT TIP PEN
15. RAIN
16. DIGGING MY POTATO
17. MEMORY

 

 

サントリーホールの総合プロデューサーだった萩元晴彦さんにいわれたことがある~音楽の神様に仕えているのに、それ以上に何を求めることがあるのだ、と。

ガリアーノさんのピアソラ・フォーエバーを、鎌倉芸術館で数年ぶりにきく機会をえて、このことばを思い出した。ここには、音楽の神様からの贈り物がある。そして、この素晴らしい「音楽」というもののために、私たちは存在しているのだ、と。

2007年、私たちはガリアーノさんのこのピアソラ・フォーエバーのコンサートを開催した。ビデオアーツの海老根さんとのご縁で、フランスから招聘をした。海老根さんは、「ガリアーノさんの音楽は、ジャズだけではない。ライブハウスでの音楽だけでなく、コンサートホールで奏でられるいわゆるクラシック的な音楽も素晴らしい。彼こそが実現できるアコーディオンの真の芸術がそこにある」とよくいわれていた。だから、私たちは、とにもかくにもコンサートホールで実現することをめざした。そして、紀尾井ホールの協力で可能となった。

当時、お客様を集めることに必死で、僕自身はコンサートに100%集中できなかったけれど、それでも素晴らしい「音楽」に感動し、思わず泣いていたことを思い出す。カーテンコールにガリアーノさんが舞台に戻ってきて、客席が総立ちとなって迎えたのをみたとき、これこそ音楽の神様からの贈り物なのですよね、とこころの中の萩元さんにはなしかけていた自分がそのとき確かにあった。

あれから5年、今回は海老根さんご自身の尽力で、ピアソラ・フォーエバーが再び実現となった。今度は僕は、音楽に100%集中した。そして再び感動した。前回にもましてたくさんの鎌倉芸術館のお客様も、あの日と同じく、カーテンコールのガリアーノさんを総立ちになって迎えていた。会場はホールに馴じんだ鎌倉のお客様が多く、きっとガリアーノさんを初めて聴く方も多かっただろうけれど、終演後ロビーでは、ガリアーノさんのサイン会を待つ何百人ものお客様が行列をつくった。彼の音楽となんらかのカタチで関わりをもっていたい・・そういう人たちの列なのだ・・そうせざるを得ないほどにわたしたちのこころを動かす何かが、彼のつむぎだす音楽にはある。まさに、「音楽の神様」がほほえんだ瞬間なのだろう。「真の音楽」の輪はこうして広がっていくのだろう、と思う。

ガリアーノさんは、金沢、東京とめぐる。さらに多くの人が、彼のアンサンブルのステージに触れ、シンパになっていくはずだ・・。

音楽の神様に仕えているのに、それ以上に何を求めることがあるのだ~そう、まずは音楽の神様に仕えずしてどうする・・と、我が身をのふがいない日常をふりかえり、あらためて萩元さんのことばを自身に問いかけている自分がいる。

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