代打満塁ホームラン:ガブリリュク 最高のラフマニノフ
N響定期Cプログラム
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
プロコフィエフ/交響曲 第6番 変ホ短調 作品111
ガブリリュクは、1984年8月ウクライナのハリコフ生まれ。
7歳よりピアノを始め、ヴィクトル・マカロフ氏に師事する。
1998年オーストラリア音楽学校及びセント・アンドリュース
カテドラル学院の奨学生としてシドニーに移住。
その後、1999年ホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール第1位
及びオーストラリア・ピアノコンクール第1位、そして、
2000年11月に行われた第4回浜松国際ピアノコンクールで、
審査員満場一致で第1位に輝いた伝説の人だ。
同コンクール審査委員長の中村紘子氏は、
“信じられないほどの完成度で、超絶技巧だけでなく、
つややかでロマンティックな音楽性をもつ
「20世紀後半最高の16歳」”と絶賛したという。
代演は難しい。本来カティア・ブニアティシヴィリなので
チケットを買った人は多いはず。
彼女のオリジナリティあふれる才気あふれる演奏は
代替がきかない。
さて、代演者はどうするか。
彼女のとは違ったオリジナリティでせめるしかない。
そして、ガブリリュクのラフマニノフはそれに違わず
素晴らしい彼らしいプレイだった。

すべての音にこころがこもっており
弱音もフレージングもベスト
特に小さな音にまで貫徹した芯のあるタッチが
見事だった

あわせてN響も落ち着いた演奏で
今日は成熟したラフマニノフを堪能できた一日だった
コンサートは蓋を開けてみるまでわからない
また今日も偶然、新しい感動が生まれたところに
立ち会えたのだから、たまらない。
コンサート通いはやめられそうにない。

 

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新しい時代の到来:クルレンツィス&ムジカエテルナ&コパチンスカヤ

クルレンツィス指揮ムジカエテルナ演奏
チャイコフスキー:ヴァイオリンコンチェルト
チャイコフスキー:悲愴

(コパチンスカヤ:アンコール)
ミヨー:ヴァイオリン クラリネット ピアノのための組曲
op1576 第二曲
リゲティ:バラードとダンス(2つのヴァイオリン編より)アンダンテ
ホルヘ・サンチェス・キヨン:クリン1996 コパチンスカヤに捧げる

 

 

オーチャードホールで聴いた
満席、すごい熱気だった

1曲目はおなじみのチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルト。
しいていえば、これはロックだ。
かつての王道の演奏ではない。
すごいスピードの調整、いわばメリハリと躍動感。

そうそう、彼女はステージ上で靴をぬいではだしで演奏する。
その分、ちょっと音量が小さくなる感じはあるけれど、この演奏の
新しさは、それを超えて十分に面白い。
クラシックで新しい体験はなかなかないものだが、
新しい若手の時代・・平成の次の時代の到来にふさわしい新しい試みだった

後半は悲愴。
これも新しい、なんせチェロ以外、全員立って演奏するのだ。
だから、体全体で演奏し、そのグルーブ感は半端ない。
そう、つまり全員がソリストであるかのような、すごい起伏の波が観客に
伝わる。
それでいて、クルレンツィスの指揮は下品にならない。
ティンパニと申し合わせたように、見事にそのグルーブを昇華させる

クルレンツィスの「悲愴」が一昨年の日本でのクラシック売上げナンバーワンだった
ことからもあるように、今日の観客はどうも一見さんではなかったようだ
第三楽章の終わりでも拍手はおきなかったし、
第四楽章の終わり、クルレンツィスがじっと黙祷のように1分近く沈黙を守ったのは
全員が見届けた。
そして、オーチャードでかつてきいたことのないような熱気の拍手。

まさに新しい時代の到来を予見する出来事にたちあった一日だった

コパンチンスカヤ

 

超巨大なスケールの大きな音のかたまり
明るい陽がジリジリ照りつけるようなシカゴ交響楽団
2019年
2月3日(日)14:00
東京文化会館(上野)

チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調op.64
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」op.35

アメリカのオーケストラにありがちな大音量
いわば爆音コンサートだ
くっきり、しっかり金管はうまく
ティンパニーはストレートに
弦はしなやかにせまってくる

すべてが最大音量だけれど、
確実な音楽としてやってくる

最初はとまどったが、これはこれでありだと
次第に思えてくるからふしぎだ
シカゴオケのファンになる気持ちもわかる
特にチャイコフスキーの5番のような
表情豊かな曲は、
彼らにぴったりだ

一方シェヘラザードは、スケールが大きい
決して情緒に流れず理性がそこにあるのは
ムーティさんの指揮によるところが大きいのだろう

天井桟敷ともいえる5階席できいたが、
臨場感あふれる一日だった

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投稿者 undecuplet | 2019/01/25

ポリーニ 新しい境地 

ポリーニの新譜がでた

すごい。泣ける

もう、プレスラーさんのような老境の境地そのものだ

誰の者でもないショパン。彼の人生を通じてだけが到達することのできた

ショパンがそこにはある。

 

1 夜想曲 第15番 ヘ短調 作品55の1

2 夜想曲 第16番 変ホ長調 作品55の2

3 マズルカ 第33番 ロ長調 作品56の1

4 マズルカ 第34番 ハ長調 作品56の2

5 マズルカ 第35番 ハ短調 作品56の3

6 子守歌 変ニ長調 作品57

ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58

7 第1楽章: Allegro maestoso

8 第2楽章: Scherzo (Molto vivace)

9 第3楽章: Largo

10 第4楽章: Finale (Presto non tanto)

 

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シェヘラザード N響&ソヒエフ まさに、ソヒエフ・マジック

N響定期Bプログラムを、サントリーホールで聴いた。
曲目は以下の通り。

フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」作品80 曲目解説
ブリテン/シンプル・シンフォニー 作品4 曲目解説
リムスキー・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」作品35 ♪試聴と曲目解説

指揮はトゥガン・ソヒエフ氏

1曲目のフォーレからその音色のはなやかさは、いつものN響と違う。
なれしたしんだ曲でも、これは・・と思わせる何かがある

そしていよいよシェヘラザード。
あの甘い旋律が、ただの大仰なものではない、きわめて繊細な
とてつもないスケールの大きさを醸し出す

とてもゆったりとしたテンポながら、この曲のもっている
グルーブ感がまさに、ソヒエフ氏なのだ。

とてつもなく深いダイナミクスを感じさせる。
途中、トランペットがやや走るところがあったら、それにも
引っ張られずに、すばらしく大きな絵を描ききるのだ。

本当に千一夜物語で夢をみさせられたような、素敵なコンサートだった。
普段のN響とは思えぬ(失礼!)、まさにマジックを魅せられた・・
そんな一夜が目の前にあった。

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upscaler とはすごい機械だ。
なにせ、CDの圧縮音源を768kまで拡張し、ハイレゾにしてしまう
最所は、何かキツネにだまされたような変な気持ちがしたが、
聴いているものが、すべて素敵な余韻のあるハイレゾ的な柔らかな
サウンドになるのになれると、
CDが昔からこんな音だったような気がしてくるかふしぎだ。
+++++++

FPGAでは、デジタルデータからフィルタをかけてアナログ信号に戻す工程で、
正確なアナログ波形に戻すために、独自の「WTAフィルタ」を使う。
アナログの音(正弦波)がADコンバータによってデジタル化され、
CDやデジタル配信されるわけだが、その際に、トランジェントの開始点で
標本化して得られるデジタルデータは、細かく見るとカクカクとした階段状になっている。

フィルタをかけてアナログ信号に戻す際、
単純なフィルタではタイミング誤差が100μSec以上あり、正確な波形に戻らないという。
そこで、フィルタのアルゴリズムを改良し、無限に処理ができるフィルタを使って
補完するというコンセプトで、補完処理を増やしていく。
これが「WTAフィルタ」であり、FIRフィルタの処理細かさをタップ数で表している。
フィルタの細かさが増えるほど、時間軸方向の精度がアップし、
トランジェントの良さや、リズムの再現性などで効果が出る。

+++++++

というような理屈らしいのだけれど、これを開発したロバート・ワッツさんの耳は
とても素敵な感性なのだと思う。
うまくいえないのだけれど、でてきた音がとても音楽的なのだ。
圧縮されたものが元のもの以上になるというのは、ある意味、オカルト的でさえあるけれど
これは、聴いた人には得られるふしぎな特権なのだ。

僕はとても幸福な体験の日々にいる。

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最近、ユジャワンやアムランといった高速プレイのいわば21世紀型ともいうべきピアニストが盛んだが、ブレハッチはショパンコンクール優勝のボーランド人というまったく、ある意味純粋・生粋のコンサートピアニスト、ショパン弾きなのだ。
モーツァルト、ベートヴェン、シューマン、ショパン・・すべてに飽きさせることなく、きわめて音楽的にチャーミングに、いわばピアノ本来の楽しさを奏でる。いま現存するこのタイプのピアニストとしては、その貴公子ぶりもあわせ、ピカイチだろう。
コンサートにきた誰もが幸福につつまれた一夜だった。

 

モーツァルト:ロンド イ短調 K. 511
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第8番 イ短調 K. 300d
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 Op. 101
シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 Op. 22
ショパン:4つのマズルカ
ショパン:ポロネーズ 第6番 変イ長調 「英雄」 Op. 53

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投稿者 undecuplet | 2018/03/21

ソヒエフの時代がやってきた

トゥールーズ・キャピタル国立管弦楽団を2晩きいた

トゥガン・ソヒエフのよさはどこにあるのだろう。
その軽やかな指揮ぶりか、あるいは楽団員の楽しそうな様子か。
あるいはそのどちらもがいい具合に化学反応を起こして、
とても表情豊かな音楽がいつも醸し出されるのだ。
それでいて、全体主義かというとそうではなく、個々の能力をひきだすことも忘れない。
シンバルや大太鼓を奏でる白髪の老紳士、
美しい響きが音楽の大きな味付けになるハープ・・
とりあげたらいとまがないほどに個々の力の集合が
全体として素敵な音楽になっているのだ。
これから数十年、彼のような指揮者がいることがクラシック音楽界において
素敵な未来を保証してくれることになるのだろう。

指揮:トゥガン・ソヒエフ
フルート:エマニュエル・パユ
トゥールーズ・キャピタル国立管弦楽団

グリンカ:オペラ『ルスランとリュドミラ』序曲
ハチャトリアン(ランパル編):フルート協奏曲
チャイコフスキー:バレエ音楽『白鳥の湖』から

 

指揮:トゥガン・ソヒエフ
ヴァイオリン: 諏訪内晶子
トゥールーズ・キャピタル国立管弦楽団

グリンカ:オペラ『ルスランとリュドミラ』序曲
ドビュッシー:交響詩「海」
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op.19
ストラヴィンスキー:バレエ『火の鳥』(1919年版)

 

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梅雨空のもと、新たなホンダ、アコードが発売になった。あの大きさのセダンで燃費30キロはとてつもなくすごいが、その展開のCMも、上質で心地よい。なつかしくそして新しいなにかがそこにはある。

 

 

 

 

 

写真 (7)いつかはみたいと思っていたクレイジー・ケン・バンド。たまたまよこはま、モーション・ブルーでライヴをすると知り、あの小さな小屋でみられるのはいいかもと思って馳せ参じた。純粋に楽しめるショウ。男性11人の巧みに息のあったチームが繰り広げる世界。「ゴッドファーザー~愛のテーマ」ではじまり、途中、リクエストにもこたえ、動じることなくこなすことなどなかなかのもの。最後は、「また逢う日まで」「マイ・ウェイ」を聴けて、本当に堪能した時間だった。

 

 

写真 (2)

 

 

 

 

 

 

 

写真 (1)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎年、この時期に一日だけ催されるあっこちゃんのソロリサイタル。今回も爆発でした。天賦の才はひとりのひとにだけ捧げられたのだろうけれど、彼女の才能は常に全方位的でそれでいて常に矢野顕子であるすばらしさ。堪能しました。

 

 

写真 (6)デュトワが振るとなぜ、こうもわくわくするのだろう。
1曲目のラヴェル・優雅で感傷的なワルツは、見事に何の破綻もなくきかせる。サン・サーンスをはさんで、当日最後の大物曲、リムスキー=コルサコフのシェヘラザードは圧巻だった。彼が振ると楽曲がひとまわりもふたまわりも大きくなり、グルーブ感満載なのだ。そうでなくとも映画音楽のような映像的音楽が、色彩豊かに広がる。デュトワが振るN響は、デュトワ色になる・・その意味で、それを実現できるすばらしい実力をもったオーケストラになのだな、とあらためて思わせられた。

 

ラヴェル:優雅で感傷的なワルツ
サン・サーンス:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品22
リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」


出演
指揮:シャルル・デュトワ
ピアノ:児玉 桃

NHK交響楽団

 

20121201_121ツィメルマン今回来日の最後の公演を見た。ドビュッシーはサントリーにつづき2回目だが、もちろんすばらしい。だが、ショパンのピアノ・ソナタ第三番になるやいない、別人のよう。ドビュッシーはどちらかといえば慎重に感性あふれる音を探していた感じだが、ショパンはもうお手の物。あふれる内面からの潮流そのものに身をまかせるごとく、もう絶品。これは、もうショパンは、ツィメルマンにとどめをさすな、と思わざるを得ない。

トリフォニーホールでは、ツィメルマンははじめてときいていたが、その音色は、サントリーほど響きすぎず、ピアノ本来の音色。ツィメルマンならではの残響が美しい。いい一晩だった。

クリスチャン・ツィメルマン[ピアノ]

ドビュッシー/版画より
1.パゴダ 2.グラナダの夕べ 3.雨の庭

ドビュッシー/前奏曲集第1巻より
2.帆 12.吟遊詩人 6.雪の上の足跡 8.亜麻色の髪の乙女 10.沈める寺 7.西風の見たもの

シマノフスキ/3つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)

ショパン/ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58

写真 (5)サントリーホールで、ツィメルマンをきいた。そもそもはオール・ドビュッシープログラムとして案内があったもの。一部曲目に変更があり、ブラームスにかわったが、それでも版画、前奏曲集の中からのよりすぐり。素晴らしいドビュッシーぶりを堪能できた。

 

ドビュッシーは絵画的音楽といわれるが、ツィメルマンが弾くとまさに映像的だ。繊細さ・精緻さという意味では、ダン・タイ・ソンのピアノも本当に好きだけれど、ツィメルマンが弾くと弱音の余韻から、強烈な爆音まで素晴らしいピアノならではの、まさにピアノフォルテという楽器ならではのダイナミックレンジを楽しめるのだ。

僕自身は、今回は、特に「雨の庭」、「雪の上の足跡」「沈める寺」が特に楽しめた。

 

先月、ポリーニのベートーヴェンをきいたのだけれど、そのとき、平野啓一郎さんがツィッターで「60代のF1レーサーのよう」とつぶやかれていた。まさにそんな感じだった。今日のツィメルマンも聴いていたらしく、彼は「光輝に満ちた音」とつぶやかれていて、やはり、まさに、と思った。同じものを聴いて共感できるのはふしぎな体験だなとも感じた。

 

 

 

ドビュッシー:版画
1.パゴダ 2.グラナダの夕べ 3.雨の庭
Debussy: Estampes: 1. Pagodes 2. La soirée dans Grenade 3. Jardins sous la pluie

ドビュッシー:前奏曲集 第1集 より
2.帆 12.吟遊詩人 6.雪の上の足跡 8.亜麻色の髪の乙女
10.沈める寺  7.西風の見たもの
Debussy: Préludes 1 (Selection)
2. Voiles 12. Minstrels 6. Des pas sur la neige
8. La fille aux cheveux de lin 10. La cathédrale engloutie
7. Ce qu’a vu le vent d’ouest

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シマノフスキ:3 つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)
Szymanowski: 3 Preludes from op.1

ブラームス:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰へ短調 作品 2
Brahms: Piano Sonata No.2 F sharp minor Op.2 (4 December only)

投稿者 undecuplet | 2012/11/24

松本竣介展 世田谷美術館

松本竣介の生誕100年を記念しての巡回展が1年を経て最後に、紅葉の輝く砧公園の世田谷美術館にやってきた。

36歳という若さで亡くなった竣介。戦争という大きな価値転換のまっただ中を生き抜いて彼はさまざまな絵を描いた。そのひとつひとつがこころにささる。

まさに純粋な表情の自画像。そして、このチケットにあるY市の風景。晩年の抽象的試み。そのどれもがまさに一直線な生き方をしてきた松本竣介と重なりあう。

詩を書き、同人誌を編纂・発行し、絵を描く。すべての分野に全力投球のそのある種の社会運動家のようななりわいは、ある時代を背負った美術者の存在そのものであり、決して現代におきかえてみてはいけないのだろう。しかし、数々の作品をみて、彼と静かに話をしてみたかったという思いにとわれた。

 

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